試験
独検の各級に必要な語彙数と、頻度順でそろえるという考え方
独検は級ごとに「必要な語彙数」を公表している数少ない試験です。5級の550語から準1級の5000語まで。その数字を、どの順番で埋めるかという話をします。
最終更新

ゲーテやtelc、TestDaFといったヨーロッパ発の試験と違い、独検(ドイツ語技能検定試験)は日本で受ける試験です。準備の仕方も、英語圏向けに書かれた記事がそのまま当てはまるわけではありません。
独検の珍しいところ
独検には5級から1級まで、2級と1級のあいだに準1級を含む六つの級があります。ほかの語学試験とくらべて独特なのは、級ごとに「語彙数の目安」と「学習時間の目安」が公表されていることです。ヨーロッパの試験はたいてい「何ができるか」を書きますが、独検はそれに加えて「だいたい何語必要か」まで書いています。
| 級 | 語彙数 | 学習時間の目安 |
|---|---|---|
| 5級 | 550語 | 約30時間 |
| 4級 | 1000語 | 約60時間 |
| 3級 | 2000語 | 約120時間 |
| 2級 | 3000語 | 約180時間 |
| 準1級 | 5000語 | 数年以上の継続学習 |
| 1級 | 語彙制限なし | 数年以上の恒常的学習 |
いずれも公式の級別レベル説明にある数字です。学習時間のほうは、週に2回授業に出る人の平均値だと思ってください。保証ではありません。
数字より大事なのは「どの1000語か」
語彙数の目標は、どの語かがわからなければ動きようがありません。「3000語」はリストではなく、正しい3000語と適当な3000語のあいだには大きな差があります。
ここで効いてくるのが頻度です。ドイツ語にかぎらず、言語の語彙は極端に上位集中しています。数百語の機能語と高頻度動詞がふつうの文章の大半を担っていて、リストを下にたどるほど1語あたりの見返りは急に小さくなります。つまりこの表は「3000語を覚える」ではなく、「頻度順で上から3000語を埋める」と読むのが正しい。
級の間隔もそれで説明がつきます。4級から3級は1000語ですが、この1000語はまだ「どのページにも出てくる」水準です。2級から準1級は2000語で、こちらはずっと珍しい語が並ぶ。学習時間の目安が数字をやめて「数年以上」になるのは、そのためです。
表が教えてくれないこと
正直に三つ。
1語は1項目ではありません。 Tisch は単語ですが、試験が要求しているのは der Tisch, die Tische、つまり性と複数形がついた形です。名詞は性と複数を込みで数えると記憶の負荷がほぼ倍になります。「2000語は知っているのに文が作れない」の原因は、たいていここにあります。
文法は別枠です。 3級は初級文法全般の知識が前提、2級は文法と語彙の十分な知識が前提とされています。語数だけを積んでも4級から先には届きません。
正確な範囲は過去問が決めます。 級の出題範囲をきっちり知りたいなら、公式の問題集と過去問が唯一の典拠です。この記事は「どういう順番で覚えるか」の話で、それらの代わりにはなりません。
うまくいく順番
- テーマ別ではなく頻度順から入る。動物の名前を40語まとめて覚えるのは、やった感のわりに戻りが小さい。最初の1000語は、10000番目の1000語より何倍も働きます。
- 名詞は最初の日から 冠詞と複数形をセットで覚える。うろ覚えの2000語にあとから性を貼りつける作業は、想像よりずっとつらい。
- 気分ではなく間隔で復習する。語彙は予測できる速さで抜けていきます。間隔反復が効くのはそのためです。
- 単語は文のなかで見る。単独の訳語はカードのなかでは生き延びますが、読解問題では崩れます。
カタカナ語は味方、ただし意味は別
アルバイト、カルテ、テーマ、エネルギー、ゲレンデ、メルヘン、リュックサック。日本語にはドイツ語由来の語がかなりあり、読み方と形については最初から手持ちがあります。
ただし借用語は意味がずれます。日本語の「アルバイト」は非常勤の仕事ですが、ドイツ語の Arbeit は常勤も含めた労働一般です。「カルテ」は Karte、ただの「カード」。発音の足がかりとしては優秀、意味の保証としては無効、と割り切るのが安全です。
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作っているのは私たちなので、そのつもりで読んでください。
ここの単語は頻度順で、1000語ごとの帯に分かれています。独検の表はそのまま重なります。帯1がだいたい4級の1000語、帯1と2で3級、帯1から3で2級、帯1から5で準1級です。名詞にはすべて冠詞と複数形がつき、各項目に訳つきの例文があります。文法ライブラリはA1からC2まで480項目、単語と同じ復習の仕組みに乗ります。
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道具の話
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